
ひとつ
何億万の生き物は
すべて無意味だった
たった一人が存在すれば
それで満足だった
たとえ山一面の桜にも
夜空に舞うオーロラにも
アクアマリンの大海原にも
灼熱走るの大地にも
流星の涙にも
たった一人の美しさには適わない
誰よりも優しく
誰よりも強い
だけど本当に繊細で
そのたった一人だけが愛しかった
たった一人以外
世界に必要なかった
たった一人が生きてゆける、それだけ在れば
それだけで、良かった
何億万は無意味だった
たった一つあれば十分だった
それなのに
そのたった一つは失われた
世界から見ればただの一つ
でもその一つが
何億万より必要だった
たった一つがない世界は
ただの無意味なだけだ
そのたった一つがない
それなのに 世界はまだある